占術やお客さま心理など、占いの「技術」的な面を指導してくれる場所は沢山あります。
しかし、意外と教えてくれないのが「セッションの流れ」についてです。
教えられた内容をどの順番で用い、どうセッションを組み立てるのが良いのか、という事について解説してくれる機会は少ないものです。
今回はそんな占いを進める流れについて、ご説明していきます。
1:はじめに占いの目的について考えよう
良いセッションの流れを作る上で「占いとはなんの為にするのか」「占い師の仕事とは何なのか」をはじめに確認しましょう。なんでもそうですが、良い効果を生み出すプロセスは、ただただ闇雲に取り組んだからといって作られていくものではありません。目的から逆算して「何が必要なのかということを洗い出す事」が重要です。
占い師の仕事とは?
占い師の仕事はとても単純です。
「相談事を聞き、悩みに対して具体的な方策を助言すること」
となります。
インファレンスのスキルを用いてお客さまの悩みを論理的に分析し、効果のありそうな方策を助言する事が仕事の目的となります。
つまり、コンサルタント業の一つであると考えて良いでしょう。
最近はメンタルケアの側面も強まって来ていますが、本来の占い師の仕事はコンサルタント業である点を忘れてはいけません。
「高次の存在とつながること」や「カードを正確に読み解くこと」が仕事ではありませんので、“霊感もタロットも、手段の一つ”であり、それ自体が占い師の役割だと思っている方は、もっと本質に目を向ける必要があります。
セッションを進める上で大切なのは、その本質を見失わないこと
どれほど複雑な占術を用いても、占いの本質である、「相談事を聞き、悩みに対して具体的な方策を助言すること」を無視してしまったのでは、良いセッションだったとは感じてくれないでしょう。
良い占い師さんは、丁寧なセッションを常に心がけています。
丁寧とは、「本質に則すること」から生まれますから、忘れないようにしましょうね。
丁寧に相談事を聞き、占いをして親身になってアドバイスしてくれる占い師さんは人気がありますし、自分が相談する身になったとして、そのような先生に相談したいと思いますよね。
もう活動している人も振り返ってみて
今、自分はどんなセッションをしているでしょうか?
占いの業界に入ってみると、趣味で行っていた時よりも、さまざまな事に気を配らなくてはいけない世界だと言うことがわかると思います。
電話占いの業界であればよくわかりやすいと思いますが、それが仕事である以上、「占い」に対して、ビジネス的な思考をを持たなければいけません。
例えば「霊感」という言葉一つとってもそうです。占い業界で「霊感」というワードは、それだけで一定の需要を生み出し、お客さまを呼び寄せます。
ところが「霊感タロット占い師」のように一部分を誇張されたプロモーションは「まがいもの」という良くない評判を招いたり、自分の意図しなかった方向にプロモーションされて行ったりします。
しかしそれは、いわば「業界の構造」とも言える部分であり、誰しもがその傍らで仕事を続けて行かなければならないのです。
良い占い師は、どれだけ周りが自分の事をさまざまに紹介・営業したとしても仕事の本質を忘れません。
一方で、そのプロモーションに準じて、霊的なセッションの回数が増えていったり、具体的なアドバイスをせずにだらだらと同じようなセッションを繰り返すようになっていく占い師さんもいるのです。
例え「まいがいものだ」と周りが言おうと、丁寧な仕事を続けている限り、その人を支持してくれるお客さまは一定数存在しますし、良いセッションだったとお客さまが感じれば、占い師側では作ることができない「良い口コミ」が生まれ、自然とお客さまが増えていくものです。
そういった意味でも、この記事の内容とご自身の仕事とを見比べてみると、役に立つでしょう。
2:セッションの流れを確認しよう
さて、占い師の仕事について確認したところで、一度自分のセッションの流れを見直してみましょう。相談者が持ち込む悩み事はさまざまですが、相談に乗る上ではきまった流れが存在します。
千差万別のお客さまのお悩みや相談事を聞いていると、こちらもオーダーメイドな対応をしなければならないような感覚を覚えます。
確かにお客さまにあった特別な占いを展開することは大変素晴らしいことなのですが、それはあくまでその流れを理解していることが条件です。
例えば同じ、人を相手取る行為の一つに、茶道というのがあります。
お茶をお客さまに振る舞う日本の伝統文化です。
多数の流派がありますが、茶室に入って茶器を拝見して茶菓子と抹茶を頂く・・・といった流れは変わりません。
そして、お茶の作法(きまった流れ)というのは、お茶の本質を全うする為に「必要が形を成したもの」であり、同様に占いにも、どのような悩みであれ、お客さまであれ、必ず意識すべききまった流れというのがあるのです。以下にその詳細をステップを分けてご紹介致していきます。
2-1:導入
お客さまがやってきたら、はじめに行う大きなステップです
占いに必要な用意を行うステップであり、自己紹介をしたり、お客さまの相談をきいたり・・・といったいくつかの「大切な要素」が含まれる、非常に重要な部分になります。そのセッションの満足度を大きく左右するポイントとなります。
この導入のステップは以下の小さいステップに分けられます。
あいさつと自己紹介
はじめは、あいさつと自己紹介をしましょう。
最初は、なんでも良いのですが相談者の緊張がほぐれるような会話を展開しましょう。
季節のお話しやお召し物を褒めたり、お仕事や趣味について聞いてみるなど、占いとは直接関係の無い話でもいいと思います。
とにかく相談者さまも緊張がほぐれないことには話したいことも話せなかったりしますし、ここで親近感をもって頂いたほうが後々踏み込んだ話もしやすくなるからです。あわせて自己紹介を行って、得意な占術や相談ジャンルなどをお知らせしておきましょう。
人間関係で重要なポイントとなる第一印象が決まる部分ですから、好印象を与えるような話し方や内容を心がけます。
5分ほどで次のステップに進むのが良いですが、中にはおしゃべりに夢中になってしまう相談者の方もいます。その場合は無理に進める必要はないですが、相談が出来ないとお客さまにとって時間がもったいないので、ほどほどの所で本題に入れるように促しましょう。
占いの目的(「なりたい像」の確認)
占いの目的を確認しましょう。
ここが、占いにおいて「最も重要」なポイントです。
どうして「占いに来た」のか、その「目的」を確認してください。
この時、もっと深く聞いておきたい事があれば必ず聞くようにしましょう。
直感的に必要だと感じた情報は、後々必要になることがほとんどです。
占いの目的=「なりたい像」が、占い師に把握できていなければ、「なりたい像」までの道のりを正確に立てることができません。つまり、相談者が今後どのような取り組みをしていくべきなのか、正しくアドバイスができないということです。
もしかすると、お客さまが望んでいる方向とは別のコンサルティングをしてしまうかもしれません。
よく、「占いの精度を上げたい」とご相談に見える方がいますが、このステップでお話しした、「占いの目的」を把握していると言うことこそ、占いの精度を高める最高のポイントであると言えます。
現状の確認
「なりたい像」に対して、「現状はどうなのか」を確認をします。
1-2と1-3は便宜上2つのステップに分けていますが、ほとんどの相談者さんは繋げたり、平行してお話ししてくれる事が多いでしょう。
お客さまの理想の姿と、今の状態を比べて、どこに問題がありそうか、目標達成までどれほどの道のりになりそうか、目算を立てます。
また、必要そうと感じたことは必ず踏み込んで聞いていくようにしましょう。
必要性があるからお話しを伺う分には、お客さまも不快になることはありませんから安心しましょう。いたずらに質問をしたり、茶化したりということは絶対のNGです。
安心感
最後に、話を聞いた上で、相談に来てくれててありがという気持ちを言葉で伝えましょう。
相談者は、他に相談できる人がまわりに見つからず、占い師をわざわざ頼って来てくれました。相談者と占い師もまた、ある種のパートナーです。
ですから、あなたは親身に、そして丁寧に相談にのりましょう。
また、あなたの「必ず悩みを良い方向に向かわせてみせる!」という姿勢は、相談者に何よりの安心感を与えます。「相談できる相手がみつかった」という事は、何かで悩む人にとって非常に助けになります。
2-2:鑑定
占い師独自の分析手段であるカードや占星術、風水、霊感などを用いて相談ごとを分析していく大ステップです。
これもまた細かいステップを重ねますが、鑑定というのは、すべてのステップを循環させて結論を導き出す行為の事をいいます。決して占術だけを鑑定と呼ぶわけではないので注意しましょう。
ですから、下記のステップは一度順番に行ったから終わり、というのではなく、占い→確認→分析→占い・・・のように、何度か順番に繰り返して、結論を見出していくステップとなります。
占い
相談者の「なりたい像」と「現状」がわかったところで、いよいよ占いを展開していきます。
相談内容に応じて、適切な占術チョイスできると良いですね。
セッションをはじめて一番最初の占いは、広く浅く、というのが鉄則です。
よくやりがちなのが、生年月日や相手の気持ち、今の状況などから始まり、最初の関係でいわゆる「最終結果」的な答えまで出して事細かに伝えてしまうことです。
たとえ優れた占術やテクニックを用いて、一気にその深さまで鑑定できたとしても、最終的な結果をその時点でお伝えするのは控えた方が良いでしょう。
なぜなら、一番はじめの占いをするタイミングでは、まだまだ情報の不足が多いためです。
良いコンサルティングをする上で、一気に深く占い結果を出してしまう事は、実際と乖離した情報を基にアドバイスをしてしまうリスクを高めることにつながります。
また、最初の占い時点では、「占いの結果」と「相談者の実生活」の結びつきが浅く、たとえ結果部分がピタリと合っていたとしても相談者は「違っている箇所」に気がいってしまいがちです。
ですから、一番最初に行う占いは「広く・浅く」行うことがベターです。
セッション最初の占いというのは、いわば悩み事の切り口を決めるタイミングです。
より多くの視点から切り込んでいける、あるいは相談者が解決のヒントや原因に気づけるよう、広く・浅く行うことが好ましいでしょう。
もちろん、深く鑑定することが悪いことではありませんが、切り口を多く作っておくと、悩みの本質(原因)にも近づきやすいでしょう。
確認
いわゆる占いの「ハズレ」は、占い師が「内容を決めつける」から外れます。
占い結果の内容は、「カードにそう出たからそうだ!」と決めつけず、相談者に一度確認することが大切です。
占いとは「悩み事とは直接関係の無いことを、まるで関係のある事であるかのように解釈し、生活に役立てる術」です。
つまり、占いの内容と相談者の実状は、「実際にリンクしているものではありません」。
しかし、その内容について確認を取った際、相談者の実状とリンクしている箇所を相談者自らが「思い当てる」事は多く、この場合だと、実際にあった事(事実)と占い内容が紐づきますから占い師がこれだと決めつけて鑑定を展開していくよりずっと正確です。
さらに、会話をしながらセッションを進めていけるので、占いにありがちな「決めつけ」という印象を感じさせる割合が低くなります。
これをきっかけにして、さらに深く相談事に切り込んでいき、問題を分析をすることができます。
分析
占い内容の確認をとったら次はその内容に対して分析をしましょう。
分析というのは、例えば恋愛の悩みで相談に来ていたとしても、「恋愛に関する事柄だけが問題となっているわけでは無い」ように、今の実状を生み出している問題はどこにありそうか、という事を見抜くという事です。
例で言えば、恋愛に熱心になっている人は、周囲の人が思っている以上に、恋愛以外の事が見えていません。
よくあるのが、「最近連絡が減って心配だ」、という質問に対して「彼は仕事に対して何かしらのシグナルを出していなかったか?」と投げると、思い出したかのように「アレもコレも」と話し出す人がいます。
このように、悩み事というのは、恋愛の事だとしても「彼の気持ち」などの恋愛系の要素だけで構成されているわけではありません。
それを相談者と共に考え、ここに問題がありそうだという事を推論し、目星を付ける為のステップです。
必要に応じて仕事や人間関係、家族の悩みなど他の方面からのアプローチも必要になるかもしれません。占い師としてのインファレンス能力が最も問われる場面でしょう。
結論
最後に、展開した内容を分析結果にもとづき結論としてまとめます。
あまりあっちもこっちも手当たり次第に話を広げすぎると、結論としてまとめる際に大変ですから、会話の展開も目星を付けて行えると良いですね。
相談事の原因を見抜き、結論として相談者に提示します。
その結論に対して次のアドバイスをしていくような流れになります。
2-3:アドバイス
占いのステップで分析した内容に基づき、お客さまの行動やプランをコンサルティングする大ステップです。お客さまへ具体的方策を示す場面となり、この大ステップにはアドバイスをする上で重要な小さいステップ2つが含まれています。
行動
アドバイスの重要な要素の1つです。
「お客さまは具体的に何を行えばよいのか」ということですね。
また、行動をアドバイスする時に、サービスの価値を高めるため、意識したいポイントがさらに2つあります。
「現実性」と「神秘性」です。
- 現実性
現実性とは、アドバイスを実行した際に、現実として効果を及ぼす内容かどうかという事です。- 彼に目配せを多くしましょう
- 意識してくれるような会話を増やす
- 連絡の頻度を少し抑えましょう
などが例です。
- 神秘性
神秘性とは、アドバイスが生み出す霊的な効果や、そのようなアドバイスになった不思議な事情の事で、雰囲気を生み出す、いわば「フレーバー」です。- 霊的な存在がそう言っている
- カードの図柄として不自然に多く出たシンボルだ
- 占星術によって出されたあなたの性質
などが例です。
なぜ、この2つでサービスの価値を高めることができるのでしょうか。
それは「占い師」という存在に対し相談者がどのような期待を抱いているか、という点を考えてみると解りやすいと思います。
現実に生きている私達の悩みを前に推し進めるのは、やはり現実に効果のあるアドバイスなのですが、生憎、多くの相談者さんは占い師に「一般論」を求めてはいないのです。
しかし、一般論というのは、多くの人に対して同じような効果を期待できるものですから有用なものが多く、その場合の印象のギャップを、神秘性による補足が上手に埋めてくれるのです。
期間
次に期間をなるべく明確に伝えてあげましょう。
どれくらいの期間、その行動を続けるのか、ということですね。
期間はその悩み事の進捗について次の相談を決めるための目安にもなりやすく、また、「それまでにやらないと!」といったふうに、お客さまに取り組む意欲をわかせる使い方もできます。
期間については現実的な数字で決めていくのが良いでしょう。期間を図る上で、ご自身の経験なども大いに役立つと思います。
2-4:もう一度占いを使いたいと思ってもらうために(営業)
最後のステップとして、「こんな時はぜひお話きかせてくださいね。」などの再来店を促すポイントが必要になります。これが上手い人とそうでない人では、想像以上に集客に差が出ますから、侮れない部分です。
営業
再鑑定の時期や、どんな時にマイルストーンの修正が必要か、など、ある程度のヒントを出しておけば、細かく軌道修正をしながら相談事を導いていくことができます。
占い師と相談者は、その悩み事に対してパートナーなのですから、占いっぱなしではなく、占いの目的が達成されるまで、何度か軌道修正の為にセッションの機会があると良いと思います。
また、「何か心に引っかかることがあれば、気兼ねなくお話し聞かせてくださいね。」という何気ない一言でも、周りに相談できる人がいないお客さまであれば、大きな心の支えになることでしょう。
3:まとめ
このように、セッションにも、きまった流れや抑えて置くべきポイントが存在します。
ある程度どんな人でも行う「きまった流れ」というのは、冒頭でお話ししたように「必要が形を成したもの」であると言えます。
セッションで行われる「きまった流れ」は以下のようになっています。
- 導入
- あいさつと自己紹介
- 占いの目的(「なりたい像」の確認)
- 現状の確認
- 安心感
- 鑑定
- 占い
- 確認
- 分析 → ※必要に応じて ① 占い へ
- 結論
- アドバイス
- 行動
- 期間
- もう一度占いを使いたいと思ってもらうために
- 営業
ですが、今から活動を考えている人も、すでに占い師として活動をしている人も、一度自分のセッションスタイルと、他で紹介しているスタイルを見比べてみると、自分にとってプラスになるさまざなな発見をすることができるでしょう。
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